高解像度撮像

課題: PCBやフラットパネルディスプレイの高密度化に伴い、カメラには高精度でコスト効率に優れ、スループットの高い検査システムを設計することが求められています。

解決策:
弊社の高解像度カメラには、詳細度の高い大型部品の検査に最適な機能が搭載されています。 以下のことが可能です。

• 複数のカメラを単一の9、12または20 MPカメラと交換する。
• 高フレームレートで高度なトリガリングにてスループットを増やす。
• 極端なダイナミックレンジと低ノイズで極めて詳細な撮像をキャプチャする。

高解像度光学検査

複雑性の低減とスループットの増大によるコスト削減

5 MP 100%の倍率の画像

 

20 MP 倍率100%の20 MPの画像。
さらなる細部はLED内に検出可能です。

 

5 MP  400%倍率の画像
LED内の細部は画素化可能です。

 

20 MP  200%倍率の画像。 LED内の細部がより鮮明に見えます。

コスト削減
複数のカメラで構成される検査システムには、レンズ、データケーブル、GPIOケーブル、コントローラカードも複数必要です。 1台の超高解像度カメラなら各部品がそれぞれ1つで済むため、結果的に大きな節約になります。 また、部品が少なくなることでシステムの信頼性が高まり、メンテナンスコストの削減にもつながります。 コンパクトな超高解像度の1インチおよび1.1インチセンサーは、Cマウントレンズと組み合わせて使用することが可能です。 高品質のCマウントレンズは超高解像度センサーを完全にサポートしています。高額で大型のFマウントレンズは必要ありません。

検査システムを簡素化する
1台の超高解像度カメラでは、複数の低解像度カメラを使用する場合と比べて、イメージングシステムの複雑さとコストが大幅に低減されます。 1台のカメラを使用することで、複数のカメラのトリガーを同期する必要がなくなり、同期ジッタによる検査アーチファクトも生じません。 また、チャネル帯域幅の管理も不要になり、照明システムの設計自由度が高まります。 1台のカメラシステムでは、使用するカメラ、レンズ、ケーブル、インターフェイスカードが少ないため、信頼性が向上し、キャリブレーションやトラブルシューティングが格段に容易になります。 

 


左: 領域を4台の5 MPカメラでカバーした場合と1台の20 MPカメラでカバーした場合の比較。

右:5 MPおよび20 MPの解像度に基づくカバー領域の違いを表す比例表示 

複数のカメラで大きな領域をカバーするには、極めて正確なアライメントが必要です。 振動や熱膨張のためカメラを正しくアラインできず、画像に「ティアリング」が生じることもあります。 また、カメラ間のカラーバランスのずれはさらなるアーチファクトにつながります。 ソフトウェアで画像のアライメントやカラー補正を行うとなると、ビジョンアプリケーションの開発プロセスが複雑化するだけでなく、アプリケーションを実行するためにより多くのシステムリソースが必要になります。 複数のカメラで構成されるシステムのアライメントをソフトウェアで行う場合、各画像が重なっている必要があるため、カバー領域が小さくなります。 1台のカメラのキャリブレーションは素早く簡単に行えます。 一方、4台のカメラをキャリブレーションし、そのキャリブレーションを維持する場合は、はるかに長い時間がかかります。 1台の超高解像度カメラを使用することにより、これらの問題を回避できます。

 

高性能カメラ画像品質
高密度のPCBおよびフラットパネルディスプレイの光学検査では、ピクセル数が多いだけでは不十分です。 そのため、FLIRの超高解像度カメラには、最新のSony  Pregius および Starvis センサーが搭載されています。 これらのセンサーの卓越した撮像性能により、単純な部品位置の検査にとどまらず、部品番号、部品の向き、リフロー後の接合品質など幅広い検査を行えるようになります。

ダイナミックレンジ
ダイナミックレンジとは、イメージセンサーが記録できる光の最大強度と最小強度の差です。 高ダイナミックレンジを備えたセンサーは、影になった領域および明るく照らされた領域の細部を撮影できます。  照明を当てると、部品実装済みのPCB上のマットな部品や高反射性の部品によって影と明るいハイライトが形成されます。 ハイダイナミックレンジのカメラでは、多重露光HDR処理を使用しなくてもこの問題を克服できます。 ダイナミックレンジの単位はdBです。

 

ダークノイズ
ダークノイズダークノイズ(単位:e-)は、センサーによって読み出されるピクセル輝度の測定値の変動です。 ダークノイズがあると、光子が当たっていなくてもピクセルが明るく見えます。 影やマットブラックICの表面など暗い領域では、ダークノイズによって画像が粗くなり、部品番号などの細部が見えづらくなります。 ダークノイズを抑えることで、通常であればノイズフロアに隠れてしまう強度の低い信号を検出できるようになります。 Sony PregiusおよびStarvis CMOSセンサーのダークノイズは、他のCMOSセンサーより2~4倍低く、CCDより4~9倍優れています。

 

量子効率
量子効率(QE)は、特定波長の光に対するカメラの感度の大きさです。 センサーのQE %が高いほど、光から電子信号への変換効率が高いことを表します。 Sonyの最新の9 MP、12 MP、および20 MPセンサーはその優れたQEにより、短い露光で高品質の画像を撮影できるため、検査時間を最小限に抑えることができます。

QEの詳しい説明については、 問題解決#1:一貫した色彩のキャプチャ(Problem Solving #1: Capturing consistent color)をご覧ください。

高スループット検査
検査超高解像度のFLIRカメラの独自機能により、詳細度の高い大型部品を素早く検査することができます。 高いフレームレートと高度なトリガー機能を備えているため、リフレッシュサイクルと同期させてフラットパネルディスプレイを撮影するために必要な高精度の制御が可能です。 より広い帯域幅を持つ10 GigEインターフェイスでは、さらに高いフレームレートがサポートされます。 また、最新のCMOSセンサーの卓越したダイナミックレンジによって多重露光HDRイメージングが不要になり、高いQEと低いダークノイズにより、さらに短い露光で細部まで鮮明に撮影できるようになります。

レンズに関する注記
超高解像度カメラの性能を最大限に引き出すには、高解像度レンズが必要です。 高品質のレンズでは、中心だけでなく画像全体で優れた輝度、コントラスト、およびシャープネスが得られます。 焦点距離が同じの2つのレンズは一見同じように見えますが、その光学性能は大きく異なる可能性があります。 

MTFチャート 
ご使用のカメラおよびアプリケーションに適したレンズをお選びいただくために、多くのレンズ仕様には変調伝達関数(MTF)チャートが掲載されています。 MTFチャートの縦軸はシャープネスとコントラストを表し、横軸は画像の中心からの距離を表します。 レンズの性能が高いほど、レンズ中心からより長い距離に渡って、より高いMTF値を示します。

 

左: 高性能レンズおよび低性能レンズを論理上完璧なレンズと比較したチャート。 
高性能レンズでは、画像全体に渡って優れたコントラストとシャープネスが維持されます。 

右: 高性能レンズおよび標準レンズで撮影した画像コーナーの細部の比較。 コントラストとシャープネスの違いが明確に表れています。 低性能レンズ(パープル)は、画像の隅や端では明瞭さが欠けていることがわかります。