Ladybug5+からLadybug6への移行
対象製品
Ladybug®6
アプリケーションノートの説明
このアプリケーションノートの目的は次のとおりです。
- Ladybug5からLadybug5+への移行に関するよくある質問に回答する。
- 2つのカメラの共通点および相違点について説明する。
- Ladybug5からLadybug5+への、ユーザーのカスタムアプリケーションの移行するための提案と指針を提供する。
Ladybug5からLadybug5+への更新に関する質問
Ladybug5は製造中止になりますか?
いいえ
Ladybug6を使用するには、どのようなハードウェアが必要ですか?
- インターフェースカード—Ladybug6には、SuperSpeed USB仕様およびxHCI仕様に準拠する、USB 3.1 Gen 1 PCleホストコントローラーが必要です。
- ケーブル—Ladybug6には、ロック用ねじ付きのUSB 3.1 Gen 1 Type-A-M12 Xコードコネクタケーブルが必要です。
- 電源—電力は12ピンGPIOインターフェースから供給する必要があります。必要な入力電圧は12~24Vです。
- GPIO—電力に加えて、12ピンGPIOコネクターが外部トリガー入力、ストロボ出力、電源、PPSに使用されます。
Ladybug6をサポートするために、以下を含む開発キット(DEVKIT-01-0008)が用意されています。
- インターフェースカード—USB 3.1 Gen 1ホストコントローラーカード(デュアルポート)(ACC-01-1201)
- ケーブル—1m USB 3.1 Gen 1、タイプ A オス、M12-オスにロック(ACC-01-2308)
- ケーブル—3m USB 3.1 Gen 1、タイプ A オス、M12-オスにロック(ACC-01-2309)
- ケーブル—5m USB 3.1 Gen 1、タイプ A オス、M12-オスにロック(ACC-01-2310)
- 電源(ACC-01-9001)
- GPIO—HiroseからDCへのバレルコネクター + ピッグテール(6m)(ACC-01-3012)
- マウント—デスクトップ三脚マウントの組み合わせ(ACC-02-0001)
- ハブ—USB 3.1 Gen 1 Hub VIA VL812 1ポートスクリューロック(ACC-01-6001)
開発キットのすべてのアイテムは、個別の部品番号で別々に購入できます。
既存のアプリケーションでLadybug6を実行できますか?
Ladybug SDKのバージョン1.18(またはそれ以降のバージョン) がLadybug6を実行するには必要です。
APIの変更は最小限ですが、最新のライブラリでアプリケーションを再構築する必要があります。
画像処理パイプライン
画像処理
Ladybug5+とLadybug6の両方で、JPEG8ピクセル形式を使用する場合、PCに出力される前にキャプチャ中にカメラで一部の画像処理が行われます。追加の後処理はPC上で行われます。
Ladybug6には、より高いビット深度で、JPEG8のように動作するJPEG12Processedという新しい形式があます。
JPEG12(未処理)ピクセル形式を使用する場合、ほとんどの画像処理はPCで行われます。この処理はladybugConvertImage()の一部として行われます。これによりユーザーは、出力設定を画像取り込みとは個別に微調整することができます。
ユーザーはLadybugCapProまたはCSRを通して、画像処理のパラメータを調整できます。
ピクセルフォーマット | オンカメラ処理 | PCでの後処理 |
---|---|---|
JPEG8 JPEG12Processed* |
ゲイン ブラックレベル ピクセル補正 ホワイトバランス ガンマ |
スティッチング 減衰修正 鮮鋭化 トーンマッピング |
JPEG12(未処理) |
ピクセル補正 | スティッチング 減衰修正 鮮鋭化 トーンマッピング Bayer方式のデコーディング ゲイン ブラックレベル ホワイトバランス ガンマ EV Compensation |
フレームレート
パノラマ画像(フルハイト取得モード) | Ladybug6 | Ladybug5+ |
解像度(MP) | 72 | 30 |
寸法(幅 x 高さ) | 12,288 x 6,144 | 8,192 x 4,096 |
フレームレート(FPS) | 15 | 30 |
標準外部トリガーモード0(FPS)のフレームレート | 13.9 | 25.6 |
オーバーラップ露光読み出しトリガーモード14(FPS)のフレームレート | 14.9 | 30 |
パノラマ画像(ハーフハイト取得モード) | Ladybug6 | Ladybug5+ |
解像度(MP) | 36 | 15 |
寸法(幅 x 高さ) | 6,144 x 6,144 | 4,096 x 4,096 |
フレームレート(FPS) | 29.9 | 60 |
標準外部トリガーモード0(FPS)のフレームレート | 25 | 45 |
オーバーラップ露光読み出しトリガーモード14(FPS)のフレームレート | 28.7 | 60 |
シャッターレンジ
Ladybug6とLadybug5+の両方には、最大シャッター値を設定するための4つのプリセットシャッターレンジモードが用意されています。
- ドライブハイウェイ—被写体ぶれを防止するために、最大シャッター時間はできるだけ短く設定されています。屋外での高速での撮影に最適ですが、画像が暗すぎることもあるかもしれません。これが既定の設定です。
- ドライブシティ—最大シャッター時間がハイウェイモードよりわずかに長く、低速(時速45㎞/時速25マイルまで)での撮影に適しています。
- 屋内—最大シャッター時間はドライブモードよりわずかに長く、屋内での使用に適しています。
- 低ノイズ—最大シャッター時間は制限されません。
自動露出モード
Ladybug6とLadybug5+には、自動露出アルゴリズム用に3つのプリセットモードが用意されています。
- 下部50%—カメラの5つの面のうち下部50%のみ使用し、上部カメラは算出に利用されません。
- 上部50%—カメラの5つの面のうち上部50%のみ使用し、上部カメラを算出に利用します。これは最初のモードの逆のバージョンで、カメラが上下逆さまに取り付けられている時(例えば、ヘリコプター取り付け時)に使用されます。
- フル画像—6つのカメラの画像全体を算出に利用します。これが既定の設定です。
8ビットおよびJPEG12Processedピクセル形式の場合、画像キャプチャに自動露出モードが設定されます。JPEG12(未処理)の場合、自動露出モードは、画像のキャプチャとPCでの後処理の両方に設定されます。
ソフトウェアワークフロー
画像取得
Ladybug6は、Ladybug5+と同じように起動および制御できます。
ただし、ソースコードにはいくつか変更を加える必要があります。
- 自動バッファ使用は、固定JPEG品質値を使用する代わりに、JPEGデータ形式で有効にする必要があります。これにより、カメラは画像が使用可能なバッファサイズに収まるようにJPEG圧縮品質を調整することができます。カメラは、使用する最大品質値を80%に固定します。ladybugSetAutoJPEGQualityControlFlag()を使用してこの機能を制御し、ladybugSetAutoJPEGBufferUsage()を使用してバッファの使用を制御できます。90%~95%のバッファ使用率が推奨されます。
- カメラ起動時のデフォルトのSDK設定は、Intelホストコントローラーを介した15FPSまたは30FPSの取得をサポートするために、適切なフレームバッファサイズを割り当てるように設計されています。必要なフレームレートまたは帯域幅が低い場合、デフォルトのSDK設定が不適切である可能性があります。設定を最適に調整する方法の詳細については、TAN2017010 - Ladybugのフレームレートを調整するためのパケットとバッファサイズの使用を参照してください。
ストリームレコーディング
Ladybug6の最大帯域幅は同じで、1秒あたりにディスクに書き込まれるデータ量はLadybug5+と同じです。圧縮のクオリティの下げて、JPEGモード時に送信されるデータの量を減らすこともできます。
画像処理およびスティッチング
カメラ上で行った画像処理時のデータ形式のワークフローも同様です。こちらのLadybugPanoStitch例より、サンプルをご覧ください。
カメラ上での画像処理ができないデータ形式の画像処理パラメータや使用方法については\includeディレクトリ内のladybugImageAdjustment.hよりご覧ください。さらにLadybugCapProアプリケーションでは、これらのパラメータのグラフィックインターフェースを利用できます。
どちらの場合においても、ladybugConvertImage()により、JPEGのデコンプレッションやべイヤーのデモザイク処理、画像の後処理を含む画像を出力するための準備ができます。
画像出力
画像出力機能はLadybugCapProの以前のバージョンと同様になっています。フル解像度のパノラマ画像が必要な場合は、12288 x 6144(ピクセル)の出力サイズを使用することをお勧めします。
Ladybug SDKリリース1.18は、次の形式をサポートしています。
画像出力形式: | 映像出力形式: |
|
|
HDR、FLV、WMVはサポートされなくなりました。
画像サイズ
Ladybug6の場合、画像変換後の1つのセンサー画像のサイズは4096 x 2992です。
Ladybug5+の場合、画像変換後の1つのセンサー画像のサイズは2464 x 2048です。
ソフトウェアが画像変換とテクスチャ更新用に独自のメモリを割り当てる場合、割り当てられるメモリの量は6 x 幅 x 高さ x(チャネルあたりのバイト数)である必要があります。ここで、チャネルあたりのバイト数は、8ビットモードの場合は1で、12ビットモードの場合は2です。
例えば、JPEG8の保存に必要とされるメモリ容量は、画像変換後は以下のようになります。
Ladybug6:6 x 4096 x 2992 x 1 = 73,531,392バイト | Ladybug5+:6 x 2464 x 2048 x 1 = 30,277,632バイト |
Ladybug6とLadybug5+の詳細比較
機械特性
説明 | Ladybug6 | Ladybug5+ |
---|---|---|
デジタルインターフェース | カメラ制御およびビデオデータ用M12 X コード8ピンUSB 3.1 Gen 12 | カメラ制御とビデオデータ用のMicro-B USB 3.1 Gen 1、安定した接続のための固定ネジ付き |
汎用I/Oポート | 12ピンGPIOコネクタ(外部トリガー入力、ストロボ出力、電源、PPS用) | |
IRフィルター | 使用されている赤外線カットフィルターは同じ透過特性を持っています。 | |
寸法 | 198mm x 269mm | 197mm x 160mm |
レンズ | 焦点距離6.94mmの高品質レンズ×6 | 焦点距離4.4mmの高品質レンズ×6 |
角度FOV(回転センサーごと) | 垂直:~117.4°/水平:~85.9° | 垂直:~113.4°/水平:~94.8° |
ケース | 機械加工されたアルミ製ハウジング、アルマイト処理された赤または黒、単体、IP65防水 | |
重量 | 5.2kg | 3kg |
マウント | ケース底にはM4 0.7 x 8mm の5つのねじ穴がついており、デスクトップマウントや三脚アダプターやカスタムマウントに直接カメラを取り付けることができます。 |
|
乾燥剤 | 乾燥剤はケース内の湿気を最小限に抑え、レンズのくもりを防ぎます。 | |
移行レート | 5 Gbit/s |
GPIOプロパティ
GPIOピン配列は、Ladybug6とLadybug5+で同じです。
Ladybug6は、双方向GPIO IO2およびIO3でノイズ耐性保護が強化されています。
図 | カラー | ピン | 機能 | 説明 | |
---|---|---|---|---|---|
緑 | 1 | OPTO_GND | 光絶縁IOピンのグランド | ||
青 | 2 | I0 | 光絶縁入力(デフォルトはトリガーイン) | ||
茶 | 3 | O1 | 光絶縁出力 | ||
オレンジ | 4 | IO2 | 入力/出力/GPSデータ | ||
白 | 5 | +3.3 V | 外部電気回路に150mAまでの電力を供給 | ||
黒 | 6 | GND | 双方向IOのグランド、VEXT、+3.3 Vピン | ||
赤 | 7 | VEXT | カメラの外部からの電力供給を許可 | ||
赤 | 8 | VEXT | カメラの外部からの電力供給を許可 | ||
赤 | 9 | VEXT | カメラの外部からの電力供給を許可 | ||
緑 | 10 | OPTO_GND | 光絶縁IOピンのグランド | ||
黄 | 11 | IO3 | 入力/出力/PPS信号 | ||
黒 | 12 | GND | 双方向IOのグランド、VEXT、+3.3 Vピン |
ハードウェア/エレクトロニクス
説明 | Ladybug6 | Ladybug5+ |
---|---|---|
パワーインターフェース | CPIO経由のみ、USB3インターフェースは経由不可 | |
消費電力 | 12-24 V, 13 W | |
A/Dコンバーター | 12ビット | |
環境センサー | 温度計、湿度計 | |
LED | カメラの電源、初期化、およびUSB3のアクティビティを監視する1つの汎用ステータスLED | |
動作温度 | -30°~50°C | -20°~50°C |
保管温度 | -30°~60°C | |
相対湿度(動作時) | 20~80%(結露なきこと) | |
相対湿度(保存時) | 20~95%(結露なし) | |
視野各 | 全球面の最大90% | |
球面距離 | 2m~∞までキャリブレーション可能 | |
集束距離 | ~200 cm 対象物の鮮明度の許容範囲は約100 cm~無限 | ~200 cm 対象物のシャープネスの許容範囲は約60 cm~∞ |
ファームウェア
Ladybug6とLadybug5+はどちらもIIDC v1.32仕様に準拠しており、ファームウェアは両方のカメラで同様に動作します。
説明 | Ladybug6 | Ladybug5+ |
---|---|---|
ハイダイナミックレンジ | ゲインと露光のプリセット4種類をサイクル | |
外部トリガーモードの有効化 | トリガーモード0、1、3、14、15 | |
ゲイン | 0~18 dB | |
ガンマ | 0.50~4.00 | |
シャッタースピード | 0.02 マイクロ秒 から 2 秒 (拡張シャッターモード) |
|
シャッタータイプ | グローバルシャッター | |
Memory Channel | カメラのカスタム設定用メモリチャネル×2 | |
フラッシュメモリ | 1MB |
ソフトウェア、ドライバーおよびシステムサポート
説明 | Ladybug6 | Ladybug5+ |
---|---|---|
Ladybug SDKバージョン | 1.18以降 | 1.15以降 |
推奨のオペレーティングシステム | Windows 10 64ビット/ Ubuntu 20.04(64ビット) 撮像と録画用 撮像専用ARM64 |
Windows 10、64ビット Ubuntu 16.04 64ビット、撮像と録画専用 |
Ladybug SDKに必須のソフトウェア | Microsoft Visual Studio 2015以降 g++ 9.3.0以降 |
Microsoft Visual Studio 2010以降 g++ 5.4.0以降 |
CPU(推奨) | 第11世代Intel® Core™ i7プロセッサー | |
RAM(推奨) | 撮像と録画には8GB、後処理には16GB |
寸法
Ladybug6の寸法図
Ladybug5+の寸法図